2023/09/26 18:38
こんにちは
Sui Worksです
この記事では、Sui Worksが初めて出版するボードゲーム『RATORO ラトーロ』の開発記録とゲーム紹介になります。
主に、こういうゲームにインスパイアされてきた、こういう経緯で作ってきたという開発記録をベースにして記載します。
なお、ゲームデザインをしている符亀さんのデザイナーズノートは以下から読めます。

0, そもそもの始まり
Sui Worksはもともと説明書のルールライトや校正やDTPデザインをしている団体だったんですが、
2022から他の製作者さんとゲームを一緒に作るという行為をしています。
初回はスマートエイプゲームスさんと「SWEET DOG HOTEL スイートドッグホテル」
次はデバックモンキーズさんと「ELÄÄ ROTU エラロト」を製作してきました。
次はデバックモンキーズさんと「ELÄÄ ROTU エラロト」を製作してきました。
その中で、前回までは協力者的なポジションだったんですが、そこから少し出版社的なポジションでやってみたいと思い
この他の製作者さんとゲームを作るという企画がスタートしました
なので、この『RATORO ラトーロ』(あとは『ESOTERIC エソテリック』)はSui Worksが主体となって初めて出版する作品になります。
1, 『RATORO ラトーロ』のスタート
まず、この『RATORO ラトーロ』というゲームはワーカープレイスメントゲームです。
ワーカープレイスメントゲームといえば、どんなゲームを想起させられるでしょうか?
「アグリコラ」「エバーデール」「ワイナリーの四季」など、様々な有名なボードゲームがあります。
この『RATORO ラトーロ』というゲームはそんなクラシックな作品群に影響を受け、それを別の形に落とし込んだ、そんな作品です。
これからその経緯を記載していきます。
このゲームは、ゲームデザイナーの符亀さんが持ってきたいくつかアイデアから始まっています。
それは「カードの上に駒を載せて効果を得る(ワーカープレイスメント)
そして駒を駒の上に重ねて置くことで追加の効果を得る」というアイデアです。(ざっくり)
2022年11月くらいからスタートしたこの企画ですが、この当時「駒を駒の上に重ねて置く」ということに興味を持っていた自分は
これをベースに始めましょうということでスタートしました。
ちなみに、駒を駒の上に重ねて置くアイデアは以下のような作品群から影響を受けています。
uchibacoya『Aqua Garden Beach Combing Expansion』
TACTICAL GAMES『ATLAS LOST - RISE of the NEW SOVEREIGNS -』
Craft Labo『ニャイスコード』
駒を駒の上に重ねて置くことで、駒同士のストーリー性と拡張性が広がります。
こういうことをしてみたいというのもあり、符亀さんの以下のアイデアをベースに進めました。
・ワーカープレイスメント
・駒を駒の上に重ねる

2, コアメカニクス
ルールブックを先にご紹介します。
〇ページ分割ver
https://drive.google.com/file/d/1uvOuE83OBCJP2qyiWL0FV_hhfNjPlWYA/view?usp=sharing
このゲームは先ほど書いたようにクラシックなワーカープレイスメントのゲームを様々に参照しています。
その中でもコアのメカニクスは「ワーカーを置く場所がゲームごとに、ゲーム中に変化する」です。
そして、一番近いゲーム性はフリードマン・フリーゼ氏の『フルーツジュース』となります。
このフルーツジュースというゲームは、ワーカープレイスメントのミニゲームをたくさん行い
その中で、ワーカーを置く場所がゲーム中に、そしてゲームごとに変化していくというゲームです。
細かい内容は他のブロガーさんの記事を参照してみてください。
さて、一番近いゲーム性の作品を挙げましたが
『RATORO ラトーロ』と『フルーツジュース』との最大の違いは「プレイの密度」であると考えています。
フルーツジュースはすごくロングスパンでゲーム展開されることを予定しており、変化は起こるが非常にゆるやかです。
しかし、この『RATORO ラトーロ』は変化が激しいゲームになっています。
4ラウンドで構成されており、ラウンドごとにワーカーを置くカードが消えたり、補充されたりしていきます。
最終的には、大体15~20枚程度のカードが盤面に現れ、ゲーム開始時とは全く異なる盤面になります。

4, 調整
符亀さんのデザイナーズノートにもありますが、開発として一番苦心した部分は
「変化が激しい中で、計画性をどこまで担保できるか」
という部分です。
変化が激しいということは、自分の手番が再び回ってくるまでの変化が激しいということなので
計画していてもそれが破綻してしまう可能性を秘めています。
そうなるとゲームは手なりでプレイされてしまい、ダウンタイムに考えることが無くなります。
変化に富みながらプレイヤーの考える余地を残すということで、以下のような実装がなされました。
・ラウンドごとにめくられる枚数の制限
・マイルストーンカードの実装とその得点
ラウンドごとにめくられるカードは当初、プレイヤーが自由に選べた仕様がされていましたが
カードの良し悪しが分からない状態での「この山札をめくりたい」という感情は沸きません。
そして、選択ができると迷ってしまうため、ラウンドごとにどの山札からめくるかというのを固定しました。
マイルストーンカードはゲームの得点源であるタグへ意識を向けさせます。
またタグは得点だけでなくゲーム中の強化にもつながるので、集めれば集めるほど嬉しい仕様にしています。
そしてタグを参照するカードも含まれているので、これも集めれば集めるほど嬉しい仕様になっています。
他にも、「変化が激しい中で、ストレスを少なくプレイできる」ことにも注力しています。
特にアイコン回りで、カードの半分を使ってカード効果を記載しています。
文字も限りなく少なくし、遠くから見えるようにしています。
これは、わざわざカードを手に取って読まなくても意味が伝わるようにするためです。
こういったカードテキストがある場合、プレイヤー全員で回し読みということが多々あると思いますが
その回数を減らすように努めています。
そして、アイコンリストの便覧や説明書を手厚くすることでもカード効果をフォローするようにしています。
(これは本職である、説明書のルールライトや校正やDTPデザインでの経験が活きています)

5, 参考
フリードマン・フリーゼ『フルーツジュース』
ジェームスA.ウィルソン『エバーデール』
ウヴェ・ローゼンベルク『アグリコラ』
ジェイミー・ステグマイアー『ワイナリーの四季』
スパ帝国『ナショナルエコノミー』
エマーソンマツウチ『CENTURY スパイスロード』
アンドレアス・ザイファルト『サンファン』
佐藤 敏樹『ハピエストタウン』
フィル・ウォルカーハーディング『スシゴー』
ザカリー・イーグル『ゴーナッツフォードーナツ』
ジェイコブ・フリゼリウス『テラフォーミングマーズ』
マーティン・ワレス『ティナーズトレイル』
マティアス・ウィッジ『アークノヴァ』
戸塚中央『アクアガーデン ビーチコーミング拡張』
戸塚中央『ATLAS LOST RISE OF THE NEW SOVEREGINS』
Craft Labo『ニャイスコード』